文章の職人技

生徒に問題を解いてもらっている間に、 高校の国語の教科書を読んでいた。 三浦哲郎氏の 「盆土産」を読んだ。 出稼ぎから帰って来る父が土産に えびフライを買って帰ってきて、その顛末を描いた話だった。 ただそれだけの話なのに。 思わずほろっときて泣きそうになった。 主人公の少年が亡くなった母親のことを思うくだりだ。 「母親はおそらくこんなうまいもんを知らずに 働くだけ働いて死んでいったに違いない。 できれば母にもエビフライを食わせてやりたかった」 というようなことを母の墓前で母をしのびながら少年が思うところが やっぱ泣ける。 よっぽど初めて食べたえびフライに感激したのだろう。 父親が6尾しかないえびフライを 「おまえら2個ずつ食え。おれとばっちゃは 1個ずつでええ」 と子どもらに多く食べさせる場面とか 実に見事に描かれていた。 うぅぅぅぅ。泣ける。 それにしても えびフライだけで、こんなに話を膨らませられるなんて これぞ文章の職人技だ。小説の真髄だと思った。 本格的な作家は、やっぱひとあじもふたあじも違う。 このかたの作品は、 冬期講習の国語のテキストにも教材として掲載されていた。 父と娘の心の交流を巧みに描いていたすばらしい作品だった。 もっともっとたくさんよい小説を読みたくなった。 やっぱり小説が好きだ。 とくに短編がね。 山川方夫や梶井基次郎がとくに好きだ。 詩人はもちろん三好達治 歌人は啄木と若山牧水